事務局からのお知らせ

岩手医科大学医学部 小児科学講座 小山 耕太郎 先生 寄稿

 東日本大震災から6年が経ちました。この間、全国の皆様から多くの温かいご支援をいただきましたことに厚く御礼申し上げます。日本小児科学会、日本小児救急医学会におかれましては、東日本大震災小児医療復興新生事務局を通して、全国の小児科医の皆様に被災地における診療応援を募集していただき、心より感謝申し上げます。被害が特に甚大であった気仙地域の県立大船渡病院と高田病院、内陸の遠野病院、胆沢病院、磐井病院にはこれまで多くの先生から応援をいただきました。あらためて御礼申し上げます。

 

 東日本大震災津波は、岩手県では、死者4672名、不明者1122名、そして多数の震災関連死をもたらしました。現在、県内の被災地は大規模なかさ上げ工事が終わり、遅れていた災害公営住宅の建設も進んでいます。医療提供施設の多くが再開されており、仮設で診療している高田病院も、平成29年度中の開院に向け、高台での工事が続いています。しかし、今も1万3283名の方が、仮設住宅で不自由な生活を強いられています。盛岡以外の県内各医療圏はもともと医師不足に悩んでいましたが、特に被災地は、地理的な特徴から医療圏が孤立しやすく、支援が困難です。昨年の台風第10号で再び被災した岩泉町と久慈市も他の医療圏から遠く離れており、県立久慈病院では大学から派遣した小児科医が、一人科長として、地域の子ども達を守っています。

 

 まだまだ苦難の続く被災地の皆様にとって、小児科医の確保は、地域で生きる支えのひとつであると思います。今後とも皆様の応援をお願い申し上げます。

平成29年3月11日

  岩手医科大学医学部小児科学講座教授

  小山耕太郎

小山顔写真