事務局からのお知らせ

宮城県小児科医会 理事(阿部こどもクリニック 院長) 阿部 淳一郎先生 特別寄稿 

宮城県小児科医医会 理事(石巻市 阿部こどもクリニック 院長)阿部 淳一郎先生より

特別寄稿文をお寄せ頂きましたので以下に掲載させて頂きます

(写真は、2016年3月撮影 向かって右 阿部先生 左 東北大学小児科教授 呉繁夫先生 臨時事務局会議時撮影)

 

平成30年3月11日

あの日から7年が経過しました。未だ、石巻市内には時間が止まった場所、空間が散在します。

一方、内陸部には復興住宅が立ちならび、これまでになかった10階以上のマンションも建設され、

町の中は進んだ場所と止まったままの場所の対比が鮮やかです。建築物に限らず、人びとの置かれた環境も対比が目立つようになりました。

石巻市夜間急患センターは海沿いの南浜町にありましたが被災、その後の日和山の仮設診療所を経て、平成28年12月に石巻赤十字病院敷地内に開設されました。石巻市夜間急患センターにおける平日夜間診療は平成14年5月から各開業医の在宅での対応からセンターへの出務方式として始まりました。センターでは月曜日から金曜日の平日夜間は凖夜帯、そして土曜日、日曜日、祝日は準夜帯から翌朝までをカバーしています。当初の平日の担当は石巻市内の小児科開業医、不足分は内科開業医にもお手伝い頂き、現在は石巻赤十字病院小児科医が毎週月曜日と金曜日、航空自衛隊松島基地の小児科医が、毎週1回、女川町立医療センターの小児科医が月1回と支援の輪が広がっています。土曜日については東日本大震災小児医療復興新生事務局の派遣医師に担当していただき、大変お世話になっております。石巻市の小児科開業医はピーク時には10名おりましたが、現在も健在で担当しているのは6名と減少しました。筆者は平成28年に心筋梗塞を発症し離脱しています。以上のように、開業医が担当していた初期診療はその減少枠を主として、同じ敷地内にある石巻赤十字病院小児科医師のカバーで維持されています。センターの石巻赤十字病院敷地内への設置は東北大学小児科教授 呉繁夫先生の後押しがあり実現しました。東北大学小児科からの宮城県内への小児科医の派遣は4カ所の拠点病院へ集中させ、各医療圏をカバーするという構想です。この様な仕組で開業小児科医が減少しても、石巻医療圏の初期診療は維持されています。医師が減ってゆく地域に暮らす住民への、大きな子育て支援になっていると確信しています。

阿部こどもクリニック 院長

阿部 淳一郎

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