事務局からのお知らせ

特別寄稿「震災後10年を迎えて思うこと」 公立相馬総合病院小児科 伊藤正樹

午後の外来中に突然の大きな揺れが発生しました。

その後は津波に原発事故と、立て続けに今まで経験したことのない事が起こり、その都度多くの方々のご支援、ご助言を頂き今日に至ります。

災害は続くもので、台風による水害で相馬市内全域が断水したこともありました。そして、現在のコロナの流行など、災害はいつやってくるか本当に分かりません。常に備えることが大切だと痛感しております。

 

当院は本事業を通じて全国各地から大勢の小児科の先生に支援を頂きました。

この十年で、地震、津波被害を受けた沿岸部はかなり整備され、復興に向けて確実に前へ進んでおります。

当時赤ちゃんだったお子さんも、今は小学校高学年。当科を受診するお子さんの多くが震災後に生まれた子供たちになってきました。

震災後も以前と変わらぬ小児科医療を提供しようと努めてまいりましたが、今日まで続けてこられたのも、多くの支援の先生方のお陰だと本当に感謝しております。

 

震災当時のことを知らない子ども達が増えてきましたが、ここ相双地域には依然として、放射能による居住困難区域が存在し、処理水の海洋放出の問題、そして燃料デブリの取り出しや廃炉に関することなど、多くの現在進行形の問題を抱えています。

元通りになることは難しいと思いますが、今の状況の中で、子供たちが健やかに暮らして行けるよう出来る限りの医療を提供していきたいと思っています。

これまでのご支援に深く感謝させて頂くとともに、今後も変わらぬご支援、ご助言を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

公立相馬総合病院小児科 伊藤正樹