事務局からのお知らせ

特別寄稿 ”これまで”と”これから” 岩手県立大船渡病院小児科 渕向 透

震災から10年が過ぎようとしています。巨大な津波に呑み込まれ、瓦礫だらけになった街も少しずつ再生され、新しい姿を見せています。昔からこの地域は、津波による破壊と再生を繰り返しながら、その度に新しく生まれ変わり、現在まで続いているように感じます。少子高齢化、人口減少という厳しい現実の中で被災地の復興は簡単ではありませんが、岩手県では「いわて幸福白書2020」を掲げ、そこに暮らす人々の幸福度が向上するための試みが始まっています。幸福度の指標は、健康、子育て、教育、家族等小児科医が関わるべき課題が多く挙げられており、その達成には、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)と呼ばれる交流、信頼等によって結ばれる個人間の繋がりが重要であると指摘されています。東日本大震災小児医療復興新生事務局の活動は、ある意味において全国と被災地を繋ぐソーシャル・キャピタルとしての役割を果たしてきており、これまで続けてこられているのは皆様からの温かいお心の賜物と感じています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

岩手県立大船渡病院小児科

渕向 透